第98回 全日本生け花コンクール 西日本大会をレポート|福岡・櫛田神社で見た華道の現在|IKEBANA STUDIO おおら花
- いけばな教室 おおら花
- 11月15日
- 読了時間: 6分
更新日:2 日前

生け花・華道展の現地レポート
東京や全国で開催される生け花展・華道展は、
各流派の作家たちが日々の修練の成果を披露する特別な場です。
また、生け花を鑑賞するだけで、その作品のエネルギーを感じ受け取ることができます。
私も龍生派の華道家としてさまざまな花展に出品・鑑賞しており、
実際に現場で感じた空間構成や花材の使い方など、
華道を習い事としてやっている方、初心者のこれから生け花をやってみたい方向けに、ブログ形式でレポートしていきます。
各々の流派の特徴や、花展の見どころ、今の生け花の現場感や、感じた学びをお伝えしていきます。
今回は 帝国華道院九州連合会主催/第98回 全日本生け花コンクール 西日本地区大会をレポートしていきます。

全日本生け花コンクール 西日本地区大会2025
全日本生け花コンクールは、全国規模で開催される華道の大会であり、華道を学ぶ誰もが挑戦できる場。
福岡で行われる西日本大会は、その中でも特に歴史ある催しで、今年で第98回を迎えています。
私は以前このコンクールの東京大会に出場した経験があり、華道家としても関心を持っていました。
そんな中、華道家仲間から今年の福岡大会が近いことを聞き、見ておくべきと直感して、すぐに福岡行きの便を手配しました。
飛行機が福岡空港に着陸する際の、街のすぐ間をすり抜けるように降りていく感覚に少し緊張ぎみの道産子。
市街地の中にある空港ということもあり、着陸後はすぐに会場のある博多市内へアクセスして空港から正味15分で会場到着。その体験からしても、今回の花展旅は印象的でした。

会場と大会の概要
会場となったのは、福岡の中心地・櫛田神社。
博多祇園山笠でも知られるこの神社は、古くから地元の信仰を支えてきた場所です。
その神聖な境内の一角で、全国の華道家たちによる生け花展が行われました。
主催は帝国華道院九州連合会。
会期は令和7年(2025年)9月21日(日)〜24日(水)の4日間で、
前期(21・22日)にコンクール作品、後期(23・24日)に展示入れ替えが行われます。
大会には「自由花の部」「指定花材の部」「格花の部」の3部門があり、
参加者は自身の得意分野や表現軸に合わせて出場部門を選べます。
学生から師範クラスまで幅広い層が参加し、まさに華道の今が見える舞台でした。

華道大賞、数々ある大会の格式
この大会は、受賞できる賞も非常に格式高いことで知られています。
華道大賞
文部科学大臣賞
福岡県知事賞
福岡市長賞
福岡県・市教育委員会賞
帝国華道院理事長賞
RKB毎日放送賞
福岡県文化団体連合会賞 など
これらに加えて、優秀賞・奨励賞も設けられており、華道を志す人にとっては最大の晴れ舞台でもあります。

華やかで迫力ある生け花作品群
前期の会場に足を踏み入れた瞬間、まず感じたのは
圧倒的な生け花、植物の迫力でした。
大木や流木を大胆に使った作品が多く、
一つひとつの作品が「空間の主役」として迫力がひしめき合っていました。
作品の前に立つと、ただ大きいというだけでなく、
“植物の力”そのものをどう引き出すかという意志が伝わってきます。
花材には、椿、イブキ、柳、蘭、菊、紐ケイトウ、流木や竹、実物(みもの)など
まだ暑い初秋ではありましたが、季節を感じさせるものも多く、
格花の生花や自由花には各流派の個性も輝いていました。
「花材の特性を最大限に生かす」ということが、
どの作品にも通っており、会場全体が生命力に満ちていました。
格花の部に見る生け花“品格の美”
一方で、格花の部では空気が異なり、
形や流れを極限まで整えられた作品は、派手さではなく品のある静けさも漂っていました。
生け手の集中と礼節、
鍛錬がそのまま形になったような作品群に、自然と背筋が伸びます。
自由花の大胆さと、格花の緊張感。これを一つの会場で見られることが、この大会の見応えをさらに深めていました。

櫛田神社という特別な空間
展示は神社境内にも広がっており、
参拝に訪れた方々が思わず足を止める光景もありました。
花展を通して、華道が“日常の中にある芸術”としてあることを改めて感じます。
神社という場の持つ神聖さと、いけばなの持つ一瞬の命の美しさ。
その両方が重なり合って、特別な空気を作り出していました。

人とのつながりと感謝
今回は、生け花 草真流の皆さまに花材搬入や昼食などでお世話になりました。
その温かいサポートのおかげで、
私自身、初めての土地でも安心して過ごすことができました。
華道は技術だけではなく、人と人とのつながりの上に咲く文化だと、
改めて実感しました。この場を借りて、心から感謝申し上げます。

夜の福岡で一息
夜は福岡の街へ。博多のもつ鍋をつつきながら花展を思い返す時間を過ごしました。
どの作品も素材の「生かし方」に意志がある。
この土地で見る花たちの力強さは、きっとこの街の空気や人の気質とも関係しているのかもしれないとふと思いました。

実は、私も出場していました
実は今回、私自身もこの大会に龍生派の華道家としてしていました。
「見るだけでもいいけれど、せっかくなら自分も挑戦してみよう」と思い、作品をいけてきました。
指定花材の部で猿猴杉を使った作品をいけました。猿猴杉を結んで使うことを起点に作品を作りましたが、入賞はできませんでした。
自分の作品をいけられたにせよ、気づきが大変多く、
良い経験をさせていただいた花展旅となりました。引き続き精進です。
遠方からの出場ということもあり、福岡の皆様(草真流の皆さま)には本当に良くしていただきました。
華道・生け花のことだけでなく、ひとりの人として学ばせていただく経験をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
表現の世界は“みんな違ってみんな良い”という前提の上に成り立っていますが、
順位をつけられて初めて見えること・気づくこともたくさんあります。
現場で生ける緊張感、そして他流派の作品を間近で見られる楽しさ。
それは、単なる競い合いではなく、花を通じて互いを高め合う場所だと感じています。
東京・日本橋「おおら花」について

東京・日本橋にある私の開催している生け花教室「おおら花」では、
初心者体験レッスンから師範資格、作家を目指す方まで、華道を楽しく学んでいます。
東京観光がてらの空いた時間で、どなたでもご参加いただけます。
日本の伝統文化を、東京日本橋から世界に向けて発信できるよう、日々レッスンを行っています。
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まとめ
第98回 全日本いけばなコンクール 西日本大会を観覧
豪華絢爛な作品と格花の品格が共存する展示
福岡・櫛田神社で行われる特別な舞台
華道家たちの集中と情熱を肌で感じた
花と人のつながりが文化を支えている
また次の生け花コンクールでも、学び、挑んでいきたいと思います。
その経験を、東京・日本橋のおおら花の教室で、生徒の皆さんに還元していけたらと思います。




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