創流130周年 いけばな小原流東京支部花展を拝見してきました|盛花の革新と展示美をレポート
- いけばな教室 おおら花
- 3 日前
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創流130周年のいけばな小原流東京支部 生け花・華道展

生け花展の現地レポート
東京をはじめ、全国で開催される生け花展・華道展は、流派を超えた華道家たちが日々の修練の成果を披露する特別な場です。
作品の前に立つと、植物の持つ生命力と作者の鍛錬の深さがそのまま空気として伝わってくる。
それが生け花(華道)の本質のひとつだと思います。
私自身、龍生派の華道家として花展に出瓶もしていますし、学びのために多数鑑賞も続けています。
華道を習い事として始めてみたい方、生け花教室に通って間もない初心者の方でも、「実際の花展はどんな世界なのか?」その現場の空気が伝わるように、レポート形式で紹介していきます。
今回は、創流130周年の記念開催となった『いけばな小原流東京支部花展・いけばな時勢粧・秋』の後期会期を拝見してきました。

小原流とは?(流派の特徴の解説)
小原流(おはらりゅう)は明治時代に創流され、「盛花(もりばな)」という革新的な技法を確立した流派として知られています。盛花とは、
水盤の中に複数の花材を構成し
自然の景観・季節感を器の中に写し取る
という、当時としては画期的なスタイルでした。
現在は「花意匠」「色彩」「リズムのある構成」に強みがあり、自然景観式生け花(Landscape-style Ikebana)の源流としても位置づけられています。
伝統を守りながら現代的な造形にも積極的で、初心者から育成カリキュラムや資格制度まで整った大きな流派のひとつです。
※説明は公開されている小原流の資料を参考に、要点のみを要約しています。

創流130周年 小原流東京支部花展 2025
会期:前期:10月2日(木)〜4日(土)後期:10月5日(日)〜7日(火)
会場: 新宿高島屋 11階 催会場
主催: 一般財団法人 小原流東京支部
後援: 一般財団法人 小原流本部
私は今回、時間の関係で後期のみの鑑賞となりました。
著者の前職はファッション業界だったこともあり、百貨店という空間は昔から好きで、アクセサリー売り場や化粧品フロアにもよく足を運びます。
そんな自分にとって、新宿高島屋で開催される花展は「特別な期待感のある場所」です。
私は龍生派の華道家で、この新宿高島屋で行われる生け花展に来年出瓶予定でもあるので、 雰囲気を感じるためにも今回会場に足を運びました。

百貨店フロアからすでに“花展が始まっている”演出
今回驚いたのは、新宿高島屋11階に上がる前の段階から、生け花展を外から覗き見せるような造形的インスタレーションが配置されていたこと。
植物の線、目を惹く造形表現、空間の置き方。
どれも小原流ならではの洗練された見せ方で、「会場に入る前から世界観が始まっている」という体験でした。
百貨店の持つ洗練された空間性 × 小原流の造形美。
この時点で、従来の“催事場の花展”とは大きく違う高揚感がありました。

入り口に立つと圧倒的な作品
会場に入ってすぐ、まず視界に飛び込んでくるのが小原流家元・小原宏貴先生の大型作品。
大ぶりの枝・植物の生命の方向性を決める“動き”、その中に繊細な花材の色が射し込むように配置され、小原流が築いてきた130年の幹と、革新性を表す新たに枝別れする生命力を感じられるような力強い作品でした。

会場構成の“常識を超えた”見せ方
通常、多くの華道展では、白い展示台(ボックス)の上に生け花作品が一つずつ配置され、それがフロアに等間隔で並ぶというのが一般的です。
しかし今回の 創流130周年 小原流東京支部花展 は、その“常識”を明確に一新していました。
もちろん白いボックス展示はあります。しかし、それよりも強烈だったのは、小品・中作の作品群をまとめて“ひとつの巨大な花器の内部”のように魅せる空間構成でした。

「盛花」の美学を空間スケールに拡張した展示
小原流は、言わずと知れた「盛花形式の元祖」。
今回の展示では、この盛花の概念が空間全体に拡張されているように感じました。
具体的には、
■ 大きなスペースを“水盤”と見立てる
■ その中に小品・中作を等間隔に配置
■ どの作品も全体構図の一部となるような設計となっている
■ 観覧者が歩くことで、大きな景観を巡るように自然のリズムが立ち上がる
まるで「ひとつの巨大な盛花」そのものを歩きながら鑑賞するような、新しい展示手法でした。
これは正直、いけばなの新しい表現が誕生した瞬間を見たと言っても大げさではありません。
また作品同士の間隔が絶妙で、
近づいて見ると作家の個性が立ち上がり
遠くから眺めると全体の景観に溶け込む
この距離のコントロールが本当に巧みでした。
生け花は植物を扱う芸術ですが、同時に「空間芸術」であることを改めて実感します。

照明は“明暗を強めた演出”で重厚感を増す設計
今回の展示で特に印象に残った要素のひとつが、ライティングの巧みさです。
通常の催事場よりも照度がコントロールされており、会場全体にわずかな“陰影”がついていました。
そこに照明の光が落ちると、
花材の表面の艶
葉の反射
樹木のテクスチャ
器の質感
が強く際立ち、植物の生命力と器の造形が同時に浮き上がる演出になっていたのです。
まるでギャラリーで現代アートを見るような重厚なムード。
百貨店の催事場でここまで空間演出を緻密に整えた展示は珍しいと感じました。

造形的な作品は“アート作品としてのいけばな”を提示
小原流は伝統だけではなく、モダンな造形にも積極的な流派です。
今回も、
曲線を大胆に組むもの
壁面を使ったインスタレーション
非植物素材を用いた抽象構成
格子状の花台や特注の黒塗り台を使った作品
巨大な枝を空間に走らせたもの
など、視覚的インパクトのある作品が数多く展示されていました。

龍生派華道家として感じた学び
私は龍生派で生花(古典華)と自由花の両方を学んでいますが、他流派を見るたび、必ず自分の中で新しい視点が生まれてきます。 今回の花展から特に感じたのは、いけばなの“芸術性”と“自然景観”が共存する花展だったということ。
■「花材の色彩を“空間のリズム”に変換していく力」
小原流特有の植物と花器、色彩・質感の組み合わせから多くのことを学びました。
■「盛花的発想を空間スケールで応用する新しい展示手法」
龍生派の生け花、盛花形式と共通して感じるのは、植物の“流れ”と“抜け”を感じる、空間を大切にする姿勢。
そこに色彩のリズムが合流すると、こんなにも鮮やかに景観が立ち上がるのか、と驚かされました。
■「百貨店の空間特性との融合」
華道の作品が持つ静と動の美が、照明演出や素材選びでより強調されていました。
今後、展示の開催や、参加する際にも大きく参考になるポイントでした。
生け花の“現場の熱気”に触れることの意味
花展を見ると、普段自分がお稽古している花材の扱い方や、植物の立ち上がり、器との呼応関係が、作品ごとにまったく違って見えます。
この“違いに触れる経験”こそ、いけばなを深めるうえで欠かせない時間です。
私はいけばな龍生派の華道家として、東京日本橋、日暮里のお稽古場で長く鍛錬を続けていますが、こうして他流派の現場に足を運ぶことで、自分の作品の方向性、植物の見方、空間への意識が確実に磨かれていくと感じています。
創流130周年という大きな節目の展示を間近で見られたことは、今後の創作にとっても大きな糧となりました。

東京でいけばなを学んでみたい方へ(初心者・体験レッスン歓迎)
私の主宰する いけばな教室「おおら花」(東京・日本橋) では、龍生派のカリキュラムを基礎から丁寧に学べるレッスンを行っています。
初心者の体験レッスンあり
生花(古典華)と自由花の両方が学べる
季節の植物を使用
手ぶらで参加OK
海外の方も参加可能(英語対応)
師範・資格取得を見据えたレッスンにも対応
今回のような花展に興味を持った方、あるいは“日本文化を本格的に学んでみたい”という方にも、生け花は非常におすすめの習い事です。
都市の忙しさから少し離れて、植物と向き合う静かな時間を、ぜひ一度体験してみてください。
レッスン詳細・ご予約はこちら:https://www.or-aqua.com/lesson




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