第106回草月いけばな展「花は心」|東京・日本橋高島屋の華道展を龍生派華道家がレポート【生け花・草月流】
- いけばな教室 おおら花
- 2025年12月2日
- 読了時間: 6分
更新日:2025年12月6日
第106回草月いけばな展「花は心」

生け花・華道展の現地レポート
東京を中心に、全国では年間を通してさまざまな生け花展・華道展が開催されています。
それぞれの流派の華道家が、日々の稽古と鍛錬の成果を一作に凝縮して発表する場。
作品の前に立つと、花材の生命力と作者の手の痕跡が空気として伝わってくる。それは、生け花(華道)が「植物を通して心を表現する芸術」であることを改めて感じられる瞬間です。
私は龍生派の華道家として花展に出瓶しながら、観覧も学びとして大切にしています。
華道を習い事として始めたい方、生け花教室に通う初心者の方でも、実際の花展の現場の空気を感じられるように、今回もレポート形式で紹介していきます。
今回は、日本橋高島屋S.C. 本館8階ホールで開催された『第106回草月いけばな展「花は心」』を鑑賞してきました。

草月流とは?(流派の特徴)
草月流は、1927年に勅使河原蒼風(てしがわら そうふう)家元が創流した流派。「花はいけたら人になる」という革新思想を掲げ、日本の前衛芸術運動の中心ともいえる存在です。
草月流の特徴
自由花における「作家性の強さ」
直線・曲線を彫刻のような構成力
竹・鉄・石・紙など異素材との融合
美術や建築と接続したモダンな表現
特に、蒼風(初代)、霞(二代目)、宏(三代目)、茜(四代目)と続く家元は、日本の前衛芸術に多大な影響を与えました。
草月アートセンターでは、ジョン・ケージ、イサム・ノグチ、武満徹などとの共演もあり、
いけばなの枠を超えて 「現代芸術のひとつ」 として発展した歴史があります。
私自身が生け花の世界にのめり込むきっかけも、草月家元の写真作品でした。
植物でここまでの表現ができるのか?と、高校生の時だったのですが、衝撃で身体が震えたのを覚えています。
この「前衛精神の継承」が、草月流の真骨頂だと思います。

第106回 草月いけばな展「花は心」概要
前期:2025年10月22日(水)〜24日(金)
後期:2025年10月25日(土)〜27日(月)
会場:日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール(東京・日本橋)
監修:勅使河原茜家元
主催:一般財団法人草月会
私は草月流の華道家仲間が多数出品していたこともあり、前期・後期ともに足を運びました。
日本橋高島屋という“場所”がもつ意味
日本橋高島屋は、東京・日本橋のシンボルとも言える歴史建築。
百貨店建築としては例外的に国の重要文化財に指定されている空間です。

和と洋の織り混ざったデザインモチーフで型取られた建築、アンモナイトの化石が埋め込まれてある大理石の壁、機械手動式の格式高いクラシカルなエレベーター。
その建築美の中で見る草月作品は、都市と自然物との美が交差するような感覚があります。
エントランスから圧巻の竹作品
正面玄関をくぐると、まず視界を奪うのが巨大インスタレーション。
しなる竹
天井へ昇るうねり
細部まで緊張感のある“線”の重なり
竹という素材の強さとしなやかさが、日本橋という都市の人の流れと響き合うように構成されています。
写真を撮る人の行列ができていたのも印象的でした。草月流の表現が、一般の来場者にも強く刺さっている証拠です。

本館8階ホール — 広がる草月の造形世界
会場に入ると、床置きの大型作品、中作のラインナップ、空間ごとに配置された合作作品が展開されます。
草月展ならではの特徴は、作品の幅がとにかく広いこと。

また今回は海外からの出品の多さも目立ちました。
札を見ると、中国・香港・台湾など海外の作家も多い。いけばなを「世界の芸術」として広げている草月流らしい光景でした。

照明演出で浮かび上がる“素材の力”
今回も照明は例年通りにコントラストが強く、草月流の作品が持つ造形的な魅力を強烈に引き立てていました。(毎年拝見させていただいています)

異素材が見せる独特の質感
生花や枝の立ち上がりの美しさ
流木の影が床に落ちる彫刻的陰影

草月作品は「アートとしてのいけばな」を象徴する流派ですが、それがさらに強調された印象です。

家元の大型作品 — 無二の圧倒感
会場中央部に展示された勅使河原茜家元の作品。
大ぶりの枝物
蔓・流木・竹が複雑に組み合わされた構成
その隙間から見える蒼風家元の彫刻的花器
植物の“生命”と彫刻の“静”が交差し、草月流の核心にある「花はいけたら人になる」という哲学が形を持って浮かび上がる瞬間を感じました。

草月展に見る “作家の意思”
前回紹介した小原流が「空間全体をひとつの景観として見せる美学」だとすれば、草月流は完全にその対極。
彫刻的
実験的
都市的
線的
個性が強い
ひとつひとつの作品が「作家自身の声」として強烈に立ち上がります。
いけばなは流派によって、ここまで表現の幅が変わるのか——その面白さを改めて感じました。

草月流の層の厚さ・表現の広さ
草月展でとくに感動した点。
表現の幅として、作者の意図、その作品としての強さが全面に出ていると感じる点が多くありました。
曲線で構築するような彫刻的造形
異素材を大胆に使った前衛作品
竹・鉄・木材の構造美を引き出す作品
草月流は真に「アートとしてのいけばな」を提示する存在だと感じます。
龍生派華道家としての学び
私は龍生派で古典華と自由花の両方を学んでいます。
龍生派はいけばなを作る人としての個性を大切にしています。
草月流も個性的な作家が多く、表現の幅も広いので、見ていて感覚の通じる素晴らしい作品に毎回刺激になります。
今回の草月生け花展「花は心」というテーマで、作者が伝えたい感情が伝わってくる作品がいくつもありました。
その作者の心から、花と作品にメッセージが宿り「花はいけたら人になる」ということになるのかなとも感じ
勉強させてもらいながら鑑賞しました。

東京・日本橋でいけばなを学びたい方へ
日本橋高島屋から15分圏内
私は現在、東京・日本橋で いけばな教室「おおら花(oraqua)」 を主宰しています。
日本橋高島屋から15分圏内で、仕事終わり・休日にも通いやすい立地です。
レッスン内容
初心者向け体験レッスン
生花(古典華)と自由花を両方学べる
季節の植物を使用
手ぶら参加OK
英語対応(海外の方にも人気)
師範資格取得も可能
生け花の大規模展示に触れた後、「自分でも花をいけてみたい」「生け花を習ってみたい」と感じた方には特におすすめです。
東京・日本橋という街で
日常の喧騒から少し離れて、植物と向き合う静かな時間を、ぜひ体験してください。
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