ユニクロフラワー銀座で“花を選ぶ”ということ|服を選ぶように、花を選ぶ時代へ
- いけばな教室 おおら花
- 10月28日
- 読了時間: 5分

はじめに
東京・銀座。
ファッションの街の中心にある「ユニクロ銀座店」の1階で、花が静かに並ぶ光景をご存じでしょうか。
ユニクロフラワー(UNIQLO FLOWER)は、「服を選ぶように、日常の中で花を楽しむ」ことをテーマにした、ユニクロの新しい取り組みです。
本記事では、銀座店の店舗の様子、販売されている花の特徴、そしていけばな講師として、またアパレル業界で販売から仕入れ・マーケティングまで一貫して携わってきた筆者の視点から、この花売り場の“構成美と文化的価値”を解説します。
この記事でわかること
(以下のリンクから、気になる項目にジャンプできます。)
1.ユニクロフラワーとは
2.銀座店の特徴と空間デザイン
3.アパレル出身のいけばな講師から見たユニクロフラワーの凄さ
4.銀座店の空間と来店者の印象
5.花を選び、いけるということ
6.いけばなを体験してみたい方へ
7.まとめユニクロフラワーとは

ユニクロフラワーは、ユニクロが一部店舗で展開している生花販売サービスです。
季節の花を1本単位で購入でき、価格は 1本390円(税込)。3本で990円(税込)と、日常に花を取り入れやすい価格帯です。
銀座店では、店内入口に専用カウンターが設けられ、スプレーバラ、ガーベラ、ユーカリ、カーネーションなど、暮らしに馴染む花々が整然と並んでいます。
仕入れは週に数回行われ、季節や天候に応じて花材が切り替わる点も楽しめるところです。
花の仕入れ管理もこまめにされており、常に新鮮な状態が保たれています。
ユニクロ銀座店の特徴と空間デザイン

ユニクロ銀座店は、世界的建築ユニット ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron) による設計で知られています。
ガラスのファサードに自然光が反射し、どこを切り取っても洗練されたこの建築は、まさに「日常とデザインの境界をなくす」ユニクロの哲学を体現しています。
その中で展開されるユニクロフラワーの売り場は、無機質で洗練された建築空間の目の前にあります。
銀座のビル群から射す光の中に鮮やかな彩りを放ち、また洋服を選ぶ店内からは、透明の大きなガラス越しに反射して
洗練された美しい印象に映ります。

さらに注目すべきは、花の陳列の構成美。
単に種類ごとに並べるのではなく、色の明度・トーン・発色のグラデーションに基づいて配列されています。
まるでトップスにインナー、ボトムスを合わせるように、花の色を“コーディネート”できるよう設計されているのです。

淡いピンクのカーネーションの隣に、さらにピンクがかったスプレーバラを置く。
そのわずかな色調の差異が、全体を柔らかく流れる印象に変える。
これはアパレルにおけるVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)理論と同様で、視覚的な心地よさが建築と花の両方から生まれています。
アパレル出身のいけばな講師として見た「ユニクロフラワーの凄さ」
筆者は、いけばな講師として教室を主宰する以前、アパレル業界で販売・商品企画・マーケティングを一貫して行ってきました。
その経験から見ても、ユニクロフラワーのディスプレイには驚かされます。

旬を迎える季節の花で店頭を彩り、明確な意図と動線設計も感じられます。
お客様が自然と色の流れに導かれ、最後に“自分の好みの花”に出会える構成。
まるで服を選ぶように、感覚的に花を選べるよう設計されています。

この「構成の上手さ」は、いけばなにも通じる考え方です。
一本の枝と一輪の花のバランスを整えること、全体の中でどの花が主張し、どの花が引き立てるかを見極めること。
ユニクロフラワーの売り場には、まさにその“構成美”が存在しています。
銀座店の空間と来店者の印象
銀座という立地もあり、訪れる人の層は多様です。
銀ブラ客、周辺オフィスのワーカー、買い物帰りのカップルなど、それぞれが自分の感性で花を手に取っています。

ファッション感覚で手に取りやすく日常使いの街のお花屋さんとして、
あるいはちょっとした贈り物をとして、花を選ぶことが自然に受け入れられている。
“花を飾ることが特別ではない文化”が、こうした場所から静かに根づいているように感じます。
ユニクロフラワー銀座店へのアクセス
所在地:東京都中央区銀座6-9-5 銀座コマツ東館
最寄駅:東京メトロ銀座駅 A2出口より徒歩2分
営業時間:11:00〜21:00(ユニクロ銀座店に準ずる)
取扱内容:生花(1本390円〜)、花束販売
花を選び、いけるということ

ユニクロフラワーで花を選ぶ体験は、そのままいけばなの思考にも通じるとこともあります。
色の調和を考え、空間を想像し、季節の感覚を捉える。
それは“ファッションを楽しむ感性”と同じ構造を持っています。
花を買い、いける。
その繰り返しの中で、人は暮らしの中に小さな“創作と彩り”を見つけるのだと思います。
いけばなを体験してみたい方へ

著者の運営している、東京日本橋のいけばな教室 おおら花(Oraqua)は、
ユニクロ銀座店、ユニクロフラワーから電車を使って約15分のところにスタジオを構えています。
東京日本橋、歴史と文化が息づくこの街にある生け花教室「おおら花」は、
建築デザイン事務所がリノベーションを施したスタジオギャラリー「Studio SOIL」で開催しています。
伝統的な空間ではなく、現代的で洗練された場所で、誰もが自由にいけばな、花と植物と向き合える時間を提供しています。
ユニクロフラワーにもあるように身近な花も使って、現代の暮らしに寄り添ったいけばな体験を行っています。
初心者の方も、英語でのレッスン希望の方も歓迎です。
花器・剣山・花鋏などの道具はすべてこちらでご用意いたしますので、どなたでも手ぶらでご参加いただけます。
まとめ
ユニクロフラワー銀座は、洗練された建築空間から日常に彩りを提供する、ユニクロが培ってきた日常美学が出会う場所です。
洋服とお花の両方を扱い、さらに花を単なる装飾としてではなく、
「日常の延長にある文化」として提示している点にこそ、ユニクロのLife Wear思想を感じます。
服を選び装うこと、花を選び生けること、どちらも私たちの心を豊かにしてくれるものと感じます。




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